春の雨が降っている。
雨の日には、わが子がまだ赤ん坊だったころのことを、思い出す。
赤ん坊は、雨の日によく眠る。
なぜだろう、よく言われるその話は、本当だなと実感していた。
気圧のせいだとか、なんだとか。
理由はわからないけれど、雨の日はなんだかよく眠る。気がする。
お洗濯物も干せないし、できることが少ないから、
親も余裕をもってみていられるのかもしれない。
腕の中で、あるいはソファで眠る子の、あたたかさ。
喜んでどたばたすると起きるから、あんまりいろいろはできない。
ただただ、雨音に包まれていく部屋で、
世界から隔絶されたようなその時間を、私はどのようにすごしたか、
もうあまり覚えてない。
でも、今日の雨音を聴いていたら、そのときの感覚、が蘇ってきた。
大人だって、窓辺の椅子に腰掛けて、静かな雨音のなかにいると、なんだかねむたい。
ねむたい時間は、寝ている時間よりも、幸せだ・・・。
子どもはねむたくなるとグズる。グズって、眠る。
ねむたいときに幸せを感じられるのは、大人の特権だな。